採点ボタンを押した。585点。
昨日より85点、消えた。
勉強してたのに。
その「なぜ」に、答えがある。
注記:このスコアはアプリ模試の記録です(本番の差は 初受験の記録 を参照)。
勉強してたのに点数が下がった?普通にある
670点の翌日に、世界が変わった。
11月4日。模試を解き終えて、採点画面を開いた。670点。

前日の625点から45点上がった。Listeningが410、Readingが260。
手が震えた。やっと来た、と思った。この調子なら700が見える。
ノートを閉じて、椅子の背もたれに体を預けた。天井の照明がやけに明るく見えた。
11月5日。同じアプリ。同じ形式。同じ30分の模試。何も変えていない。
解き終えて、採点ボタンを押した。585点。
画面の数字を見て、一度まばたきした。もう一度見た。585。変わらなかった。
85点が消えていた。同じ椅子に座っているのに、昨日と全然違う景色だった。
勉強してたのに下がる。それが起きた。特別なことじゃなかった。
やり方が間違ってたんじゃなくて、焦りが配分を壊した
670点を取った翌日、期待が重かった。
「700まで行ける」。昨日の模試が終わった瞬間から、その声が頭の中で回っていた。
布団に入っても消えなかった。翌朝、アプリを開いた時点で、もう焦りに変わっていた。
「前回より下がったら」。その声のほうが大きくなっていた。
問題を読みながら、答えを選びながら、ずっと鳴っていた。集中しているつもりだった。でも頭の半分は、点数のことを考えていた。
Part5。1問目を開いた。選択肢を見て、少し迷った。昨日は迷わなかった問題と同じタイプなのに。
「ここで落としたら670に届かない」。指が止まった。もう一度選択肢を読み直した。
確信が持てるまで次に進めなかった。気がついたら、Part5だけで4分27秒。
前日は2分50秒だった。1分37秒、余計にかかっていた。
その1分37秒は、Part7から消えた。Part7に残った時間は9分37秒。
15問のうち、まともに読めたのは2問か3問。正答率15%。
英語が読めなかったんじゃない。読む時間がなかった。
670点の正体は、P5に時間をかけすぎてP7が犠牲になった結果だった。焦りが配分を壊して、壊れた配分が点数を壊した。
Part5:4分27秒 / 正答率87%
慎重に解いた。当たった。でも時間を食った。
Part7:9分37秒 / 正答率15%
時間が残らなかった。読めないまま終わった。
670点は「P5の好成績 + P7の崩壊」の合計だった。
── でもさ、焦りだけでそんな下がる?
下がる。焦りが直接点を削るんじゃない。焦りが配分を壊して、配分が壊れると読む時間が消える。読む時間が消えれば、英語力がどうとか関係なく、点は落ちる。
前回たまたま高かっただけ?それも半分ある
670点が実力だったかどうか、認めたくなかった。
数字を並べたら、見えてしまった。670点のPart5正答率87%。これが外れ値だった。
前日は60%台、翌日は50%。たまたま当たった問題が多かっただけ。87%は実力じゃなかった。
でも585点のPart7を見たら、正答率が15%から53%に回復していた。
P5を速く解いた日は下がって、遅く解いた日は上がる。
P5に時間をかけた日に点が高く出て、P7に時間が回った日に点が低く出る。
「たまたま」と「地力」が、同じ日に混ざっていた。
── たまたまなら勉強する意味ないじゃん。
そう思った。でもPart7の回復が答えだった。53%。前日の15%から、翌日に53%まで戻した。
P7に時間を回せば読める。読めれば解ける。それは「たまたま」じゃない。
配分が変わっただけで38ポイント回復した。地力はちゃんとあった。ただ670点の日は、それがP5に吸い取られて見えなくなっていた。
点数が下がり続けるわけじゃない

585点の翌日、恐る恐る模試を開いた。
手が少し冷たかった。画面をタップする指が、いつもより硬かった。
「また下がったら」。その声はまだ残っていた。でも昨日ほどうるさくはなかった。
解き始めた。Part3で手ごたえがあった。Part5は深追いしなかった。
Part7に入ったとき、時間が残っていた。昨日より長く読めた。
採点。600点。585から15点、戻った。1日で。下がったまま沈んでいくわけじゃなかった。
点数が下がった原因は自分でわかる
翌朝、まだ勉強する気はなかった。
起きて、しばらくぼんやりしていた。布団の中でスマホを手に取った。SNSを開こうとして、やめた。代わりにアプリの履歴を開いた。11月4日と11月5日の模試結果を、画面に並べた。
見たくなかった。
でも見た。画面をゆっくりスクロールした。Part5の時間。Part5の正答率。Part7の時間。Part7の正答率。数字が並んでいるだけなのに、胸のあたりが重かった。指が止まった。
670点。P5に4分27秒。正答率87%。P7は9分37秒で15%。
585点。P5に3分20秒。正答率50%。P7は9分59秒で53%。
P5が速い日はP7が上がって、P5が遅い日はP7が崩れる。
670点の日はP5に賭けてP7を捨てていた。585点の日はP7が回復していた。
手が少し緩んだ。息を吐いた。下がった日の方が、配分は育っていた。
点数だけ見てたら、気づかなかった。585は670より「悪い日」だと思い込んでいた。
でも配分を見たら、585の方が次につながる解き方をしていた。
20分、布団の中でスマホを見ていただけ。それだけで、「下がった」が「変わった」に変わった。
── 素人が分析しても意味ないでしょ。
僕もそう思ってた。でも、やったのは分析じゃない。2日分の数字を横に並べただけ。P5の時間とP7の正答率。それだけで見えた。専門知識はいらなかった。翌朝の20分で、85点下がった理由がわかった。
670点(11/4)
P5:4分27秒で87%。P7:9分37秒で15%。
→ P5に賭けすぎ。P7が死んだ。
585点(11/5)
P5:3分20秒で50%。P7:9分59秒で53%。
→ P5を速くした分、P7に時間が回った。
点数は下がった。でも配分は良くなっていた。
落ちた直後にやること
585を見た瞬間、体が動かなくなった。
スマホを机に置いた。手を離した。体が重かった。
椅子から立ち上がって、部屋の天井を見上げた。何も考えられなかった。頭の中が白かった。
さっきまで670の余韻で浮かれていたのに、急に力が抜けた。足がふらついた。
夕方5時。まだ明るかった。でも布団に入った。横になって、目を閉じた。
「670は運だったのかも」。天井を向いたまま、その声が回った。
「戻らなかったら」。息が浅くなった。手が布団を握りしめていた。
指の力が入っているのに、体は動かなかった。目を開けても閉じても、585の数字がちらついた。
眠った。何時間寝たかわからない。目が覚めたとき、部屋は暗くなっていた。
スマホの画面が光っていた。585。まだそこにあった。
でも、さっきまでの「終わった」という感覚が、少し薄れていた。
「なぜ下がったか」。その問いが、怖さの代わりに頭に浮かんだ。眠る前は考えられなかった。体が回復して、初めて頭が動き出した。
当日は、何もできなかった。何もしなくてよかった。無理に勉強しなくてよかった。体と頭が回復する時間が必要だった。翌朝、データを並べたのは、その回復があったからだった。
当日 → 何もしない
勉強しない。分析しない。ふて寝でいい。
焦ったまま動いても、同じミスを繰り返す。
翌朝 → データを並べる
前回と今回の模試を横に開く。
Partごとの時間と正答率を見比べる。
「何が変わったか」だけ見る。20分で終わる。
点数を戻すのに必要な時間と考え方

11月6日、模試を開いた。今日は「伸ばす」をやめた。
点数を伸ばすことを、考えなかった。
昨日の分析で見えたのは、「670を目指した日にP7が壊れた」ということだった。
点を取りにいくほど、配分が崩れる。だから今日は点のことを忘れることにした。英文を読む。それだけ。
Part3に入った。音声が流れて、選択肢を見た。
昨日までなら「これ合ってるかな」「時間大丈夫かな」が頭の中で鳴っていた。今日はなかった。
ただ英語を聞いて、ただ選んだ。Part3、100%。全問正解。驚いた。力んでいない方が当たる。
Part7に入った。時間が残っていた。1問ずつ、文章を読んだ。速く解こうとしなかった。意味を追いかけた。
Part7、61%。前々日の15%から回復した。
600点。採点画面を見たとき、「伸びた」とは思わなかった。「読めた」と思った。
嬉しさより先に、安心が来た。「戻れた」じゃなくて、「読めるようになった」という感覚。
変わったのは英語力じゃなかった。目の向け先だった。
点数を見ていた目を、英文に戻しただけ。それだけで、15点戻った。
── 何日で戻せたか。2日。585を見た翌々日に、600に戻した。
585点から600点に戻せた。
でも、その前にもっとひどい崩壊があった。
600点に戻せたけど、600点は「普通」じゃない。
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