TOEIC 800、Part 3/4オーバーラッピングを試した結果と考察

長文を伸ばすためには、何をする?

問題を解いて答え合わせをしていても、点数は伸びない。
音読は、点数を伸ばすきっかけになるんだろうか。
どうだろう。

4/19の本番、TOEIC 690点。過去最高。
でも、800までは届かない。
読解力と読むスピードが、圧倒的に足りなかった。

目次

気合いで量を回す勉強、伸びなかった

TOEIC 600を目指してた頃。
文法問題を気合いでぐるぐる回してた時期があった。
公式問題集を解いて、間違えたらまた解いて。
Part 5の問題集も買って、また回す。

あの時、点数はあまり伸びなかった。

ゴルフを習いに行って「1000本素振りしろ」と言う先生はいない。
令和のこの時代、たぶんいない。

たぶんやるのは、こういう順番だ。
まず、正しい軌道のスイングを、生徒に体験させる。
コーチが手を添えて、「ここで、こう、こう」と動きを通す。
正しい状態を、先に身体に入れる。

そのあと、自分でやってみる。
基準があるから、ズレが分かる。
ズレた箇所を、コーチの指摘や鏡を見ながら、すり合わせていく。
自分のスイングを、正しい軌道に近づける作業。

TOEICも、同じだったんじゃないか。
気合いで量を回すんじゃなく、まず正しい状態を体験する。
そこから、自分の状態を、正しい状態にすり合わせていく。

文法問題っていう短い1文でも、気合いで回して伸びなかった。
だとしたら、長文(Part 3/4/7)を気合いで解いても、伸びないんじゃないか。

気合いじゃないなら、どうやるの?

正しい状態を体験して、すり合わせる。
ゴルフだったらコーチが手を添えてくれる。
英語の場合、それは何になるんだろう。

Part 5 の文法問題なら、それは「判定の型」になる。
たとえば動詞を選ぶ問題で、空所のあとが「裸の名詞」か「前置詞+名詞」か。
裸の名詞なら他動詞(address all the issues)、前置詞+名詞なら自動詞(proceed with the plan)。
この型を頭に通してから、解く時にすり合わせる。

僕は最近の模試で、空所のあとに名詞だけがあるとき、「あ、他動詞だ」とパッと反応できなくて、proceed と address を迷って proceed を選んでた。
意味は分かってても、構造でパッと判定する癖が、まだ身体に入ってない症状。

カフェでClaudeに英文法の構文判定について質問しているiPad画面
判定の型が身体に入ってないから、AIに毎回聞くことになる

長文(Part 3/4/7)だったら、何になるか。

Part 5 で培った文法力や単語力だけじゃ、たぶん足りない。
日本語でも、長文を理解するには「流れを追う」ことが必要だ。
誰が、何を、なぜ、どんな順番で話してるか。
単語と文法だけじゃ、流れは取れない。

じゃあ、その流れはどこで練習できるのか。

たぶん、これは「音読」の話なんじゃないか。

小学校の国語で、音読の宿題があった。
教科書を声に出して読む、親に聞かせる、カードにハンコをもらう。
あの宿題が何のためにあったか、当時はよく分かってなかった。

今思えば、文章の流れを身体に通すための、練習だったのかもしれない。

「著者の言いたいことは何か」と問われる問題、昔は苦手だった。
本文を読んでも、選択肢を読んでも、どれが近いか、よく分からなかった。
それが解けるようになってきたのは、たぶん、長文のリズムが身体に入ってきたから。
言葉が、流れるように頭の中で再生される。
流れが取れると、著者がどこを強調してて、どこを引いてるか、見えてくる。

逆も言える。
日本語でも、難しい法律の条文を読むと、たどたどしくなる。
たどたどしいまま読むと、意味も、よく腑に落ちない。
じゃあ、たどたどしさがなくなれば、意味は入るんじゃないか。

ただ、聞くだけじゃ、リズムは身体に入らない。

カラオケで洋楽を歌おうとして、歌えなかったこと、ない?
有名な曲。リズムは耳に貼り付いてる。
イントロが流れたら「あ、これだ」と分かる。
でも、いざマイクを握って歌詞を見ても、発音できない。
音についていけない。
リズムを知ってるはずなのに、口から出てこない。

リズムが聞こえる、と、リズムが口に通せる、は別物。

英語の長文も、たぶん同じだ。
聞くだけじゃ足りない。
ネイティブの音声を聞いて、自分の声を重ねて、英語の流れを身体に通す。
これが、オーバーラッピング。

ゴルフのフォームを身体に覚えさせる話と、ここでも重なる。

800狙うつもりで、Part 7に直行した

4/19の本番、690点。
過去最高だったけど、800まではまだ110点。
次までに、Part 7を強化しよう、と決めた。

選んだのは「金の読解」。TEX加藤のPart 7用の超特急シリーズ。
800狙うなら、ここを伸ばすしかない。
そう思って、開いた。

本文の難易度が高かった。
単語は知ってるはずなのに、文脈が複雑で、読み終わった瞬間に内容が散っていく。

カフェでiPadを開いてTOEIC Part 7の同義語問題を解く学習風景
カフェで「金の読解」を開いた日。Part 7の本文が、煮込まれてない牛すじを噛んでる感じだった

太鼓の達人のHardモードを叩いてる気分だった。
譜面は見える、バチも動かせる、でも追いつかない。

文字は読める。単語も構文も知ってる。
なのに、読み終わった瞬間に、内容が頭から消えていく。
煮込まれてない牛すじを噛んでる感じだった。
噛んでも、飲み込めない。

2日続けた。
その感覚は、消えなかった。

30回読め、1日3回

本に書いてあったメソッドが、これだった。
「30回の音読を目指して、1日3回」と。

普通の指示なんだと思う。
でも、僕はそれを、勝手に重くしてしまった。

翻訳もちゃんと。
音読もちゃんと。
全てがちゃんと、になった結果、全てが重くなった。

Part 7 の本文は、表現も単語も難しい。
和訳を確認するだけで、1英文あたり15分くらいかかる。

そこから音声に合わせて30回。
1英文は約1分半。1分半×30回で、45分。
途中で詰まる。詰まると、口にする飲み物も食べ物も、自然と増えていく。

オーバーラッピング学習用のワイヤレスイヤホン、カフェのテーブル上
音声に合わせて口を動かすための道具。充電切れたとき用に2つ持ち歩いてる

和訳と音読を合わせて、1英文で90分かかった。
1日3回どころか、1回でもきつい。

2日続けて、これは続かないと判断した。

30回終わって、見え方が変わった

「音読30回って、本当に効くの?」
やる前は、半信半疑だった。

体感はこんな感じだった。

5回。
少しだけ慣れたけど、特に何も変わってない。

10回。
あ、つまづく箇所が、少し減ってきた。
これなら繰り返せば、もっとスムーズになるかも。

20回。
まだ決まったところでつまずく。
ここの構文、複雑なんだよな。

30回。
あ、音が途切れないで言えるようになってきた。
さっきの和訳も、ついてきてる。

ここが、見え方が変わった瞬間だった。

1回目はぼんやりしてた中盤の文章が、意味として立ち上がる。
頭の中で日本語に組み直すんじゃなく、英語のまま意味が降りてくる場所が、文の中で増えていく。

これ、体験するまで、たぶん分からない。
「効きます」と書かれた説明をいくら読んでも、頭は半信半疑のまま。
30回口を動かしたあとの、あの瞬間を経由しないと、たぶん分からないやつだった。

量を回す勉強じゃ、絶対に手に入らない密度だった。

問題を解きまくる勉強で模試が停滞してた理由、たぶんこれだ。
解けば「分かった」と思える。
でも、本文の中の単語や構文が、口に馴染んでない。
だから次の問題で同じ表現に出会っても、また初めて読むように構え直してしまう。

ただ、これを毎日続けるのは、無理だった。
90分×3問×7日。仕事しながら回せる量じゃない。

Part 3/4 に降りて、10回に減らした

800狙うつもりだったのに、Part 3/4 に降りる。
これ、傍から見たら「諦めて簡単なところに逃げた」に見えるかもしれない。

違うんだ、と自分では思ってる。

Part 7 で30回読み終わったあとの、あの「見え方が変わった瞬間」。
あれを、Part 3/4 でもすらすらできるようにしたかった。
レベルを下げて諦めるんじゃなく、同じことを、もう一段やわらかい素材でやり直す。

10回に減らしたのは、迷ったうえでの判断。
30回まで読むと、見え方がはっきり変わる。これは確か。
でも、変化を感じ始めるのは最初の10回だった。

30回×1英文と、10回×3英文。
前者の方が、1英文の解像度は上がる。
後者の方が、いろんな表現に触れられる。

1周目は、触れる側を取った。
同じ素材を磨ききるより、まずいろんな英文の中で「最初の10回で変化を感じる」を繰り返すことにした。

Part 7 は完全にやめなかった。1日1個だけ続ける。
Part 3/4 で土台を直しながら、本来の山にも触れ続けたかった。

この組み合わせで、1問あたり30分まで落ちた。
中身はこんな感じ。

工程時間
問題を解く4分
翻訳とイディオム確認10分
10回の音読(オーバーラッピング)15分
合計約29分

降りてみて、最初に気付いたこと。
Part 3/4 のスクリプトでも、1〜2語の知らない単語が出てくる。
長文の流れを間違えることもある。

視線は800のはずなのに、Part 3/4 のスクリプトを音読しようとすると、舌が止まる単語が普通にある。
dairy products を「日用品」と訳してて、何の違和感もなく次に進んでいた。
Key Largo を「キーラー語」と読んでた。
cellar が聞き取れなくて、場所がわからないまま終わった設問もあった。

800の景色を見るには、まずここを潰す必要がある。
そう判断した。

模試640→685、効くか分からん

このやり方を始めて、模試の数字が動いた。
5/3が640。5/10が685。1週間で45点。

Part 7 の正答率も動いた。
5/3が31%、5/10が46%。1週間で15pt。

ただ、上がった数字はたまたまかもしれない。
ここで「効いた」とは判定しない。
サンプルが1週間分しかない。

ちなみに、Part 7 はオーバーラッピングをやってない。
Part 3/4 をやってるだけ。
なのに、Part 7 の数字が動く。
これもたまたまかもしれないけど、観察として面白い。

本番の答え合わせは、次の受験まで分からない。
5/31に受ける予定だ。

Part 3/4のスクリプトを音読してる時、自分の中で何が変わっていくかは、まだうまく言葉にできない。

音読しているうちに、わからなかった単語や言い回しが、80個くらい手元にメモされていた。
dairyの罠、句動詞のgo overやput up、業界用語のcellarやoutage、カジュアル表現のI guessやthough。
文法だと、have+物+過去分詞の使役の形が、口で再生してみて初めて腹に落ちた。

“It was popular” と “It is popular” と “It has been popular” の違いを、訳だけじゃなく、なぜこの時制なのか、というところまで取りに行くようになった。
730は訳せれば取れる。
800は、そのニュアンスまで拾わないと選択肢で迷う、と気づいた。

こういう気付きが、模試の45点上昇とどう繋がってるのかは、まだ自分でも分かってない。
ただ、量を回してた頃には起きてなかったことが、起き始めてる、というのは確か。

オーバーラッピングは本当に効くのか。
分からない。けど、今はこれを続けてみる。
次の本番が終わったら、またここに結果を書きにこよう。


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