この記事は、TOEIC330点から600点まで4ヶ月で伸ばした筆者が、途中で経験した挫折の記録をもとに書いています。
「TOEIC 挫折」で検索しているなら、たぶん今、やめようか迷っている。
でも本当にやめる人は検索しない。黙ってやめる。
検索している時点で、まだ諦めきれていない。
この記事では、「挫折した」と感じているその状態の正体を噛み砕いてみる。
処方箋は出さない。「こうすればいい」は書かない。
ただ、読み終わったとき、今の状態の見え方が少し変わるかもしれない。
「やってるのに報われない」という苦しさ
TOEICで「挫折」と感じる状態には、いくつかのパターンがある。
知恵袋やSNSに投稿されている声を読むと、それがよく見える。
700時間勉強して570点。毎日やっている。参考書も3冊買った。解説も読んでいる。
なのに数字が追いつかない。
ネットには「3ヶ月で700点」と書いてある。自分はその3倍の時間をかけて、まだ600点に届いていない。
「終わらないマラソンをさせられている気分」。ある投稿にはそう書いてあった。
ゴールが見えない。走り続けているのに、景色が変わらない。
645点から605点に落ちた。
前回よりできた手応えがあった。時間配分も改善した。苦手なPart5(パート5)の正答率も上がった気がした。
なのに数字は下がった。
手応えと結果がずれると、次のテストで何を信じればいいのかわからなくなる。
正解を選んだ自分の感覚すら、信用できなくなる。
560点から700点まで上げた。2年かけた。
仕事が忙しくなって半年やめた。再開して受けたら520点。
開始前より下がっている。2年間は何だったのか。
「やるだけ無駄だった」。その一言が頭の中でずっと回る。
努力が消えたのではなく、努力した事実そのものを否定されたように感じる。
問題集が開けない。アプリのアイコンを見るだけで胸がざわつく。
やらなきゃと思う。でも体が動かない。動かない自分をさらに責める。
「問題集が開けません」と投稿している人がいた。
勉強しないことが問題なのではなく、勉強しようとすること自体が苦しくなっている。
どのパターンにも共通していることがある。
全員、やっている。
サボって落ちたわけじゃない。手を抜いたわけでもない。
やっているのに報われない。そこが苦しい。
品詞問題を解いた。語尾を見て、名詞か形容詞か副詞かを判断する。
解説を読んで「なるほど」と思った。わかった、もう間違えないと思った。
翌日、同じパターンの問題が出た。間違えた。
時制の問題も同じだった。「過去完了はこう使う」と理解した。ノートにも書いた。
3日後にまた出てきて、また間違えた。ノートを見返すと、自分の字で書いてある。
書いてあるのに、解けない。
解説を読む。わかる。次に出る。間違える。
また解説を読む。わかる。また出る。また間違える。
「続かないからやめた」と「続けてるのに伸びない」は、まったく別の苦しさだ。
ネットの上位記事は「続け方」をたくさん教えてくれる。習慣化のコツ、モチベーションの保ち方、おすすめの教材。
でも、続けている人にとって「続け方」は答えにならない。

スコアが崩壊する日は来る
じわじわ消えるだけでなく、一気に崩れる日もある。
ある日、アプリを開いても15分で手が止まる。
気づいたらスマホを置いている。SNSを開いている。
「やらなきゃ」と思う。でも指が動かない。
動かないのに、自分を責める声だけは止まらない。
周りを見ると、もっと短い期間で700点を取っている人がいる。
同じ教材を使っているはずなのに、自分だけ進んでいない気がする。
「なんで自分だけできないんだろう」。その問いに答えが出ない。
答えが出ないまま、問いだけが毎日積み重なっていく。
「自分は勉強に向いてないんだ」と思い始める。
努力が足りないのではなく、そもそも自分には能力がないんじゃないか。
そう考え始めると、アプリを開くこと自体が怖くなる。
開いて、また数字が下がっていたら。また同じ問題を間違えたら。
その恐怖が、指を止める。
この状態にいるとき、人は自分を「挫折した人間」だと思っている。
「向いてない」「才能がない」「もう手遅れ」。
でも、それは本当にそうだろうか。
僕の場合、模試で680点を取った5日後に405点になった。275点落ちた。
「ここまで来たんだ」と思った矢先だった。
何が起きたのかわからなかった。
サボったわけじゃない。毎日やっていた。
なのに数字がそれを全部否定してきた。
その頃から、14分で手が止まるようになった。
アプリを開くのが怖くなった。
勉強できない人間なんだ、と思った。
あの頃の僕は、自分で自分を檻に入れていた。
「挫折した」「向いてない」「無駄だった」。
全部、自分でつけたラベルだった。

「挫折」は本当に挫折か
ここまで読んで、自分の状態に近いものがあったかもしれない。
でも一つ、立ち止まって考えてみてほしいことがある。
それは本当に「挫折」だろうか。
僕の680→405を後から振り返ると、あの頃はちょうど変化の途中だった。
「a」や「the」の後には名詞が来る。そう覚えた。
覚えた瞬間は「なるほど」と思った。これで品詞問題の判断が速くなると思った。
すると「a __ 名詞」という形を見たとき、空欄にも名詞を入れてしまった。
正解は形容詞だった。「a」の後だから名詞だろう、と頭が勝手に判断していた。
ルールを1つ覚えたら、そのルールが強すぎて、別の正解が見えなくなっていた。
覚える前は、選択肢を素直に見比べて正解できていた問題だった。
「which」も同じだった。
関係詞だと覚えた。文中に「which」が出てきたら、反射的に関係詞だと判断するようになった。
でも、「which」が疑問詞として使われる問題が出てきたとき、正解を選べなかった。
関係詞だという思い込みが強すぎて、疑問詞の可能性が頭に浮かばなかった。
これも、覚える前なら解けていた問題だった。
知識が増えたのに、点数が下がる。
矛盾しているように見えるけれど、実はそうじゃない。
新しい知識が古い判断を上書きしている途中なだけだ。
1つ覚えると、そのルールに引っ張られて、別のところが一時的に抜ける。
それは退化ではなく、頭の中が整理し直されている証拠でもある。
車の運転を思い出してほしい。
周囲を確認しながら、アクセルを踏んで、ブレーキを踏んで、ハンドルを切って、巻き込み確認をして。
最初から全部同時にできた人はいないだろう。
ハンドルに集中すればミラーを見忘れる。ブレーキのタイミングに気を取られればウインカーが遅れる。
教習所の最初の頃、「前を見て!」と言われて前を見たら、今度はハンドルがぶれた。
あっちを直せばこっちが崩れる。その繰り返しだった。
でも、少しずつ体に入っていって、気づいたら全部同時にできるようになっていた。
あの頃の「もう無理」を、今覚えている人はほとんどいない。
TOEICも同じ構造だ。
品詞問題のルールに集中すれば、時制の判断が抜ける。
文法を固めている間に、リスニングの感覚が鈍る。
1つを直している間に、別のどこかが一時的に崩れる。
それは退化ではなく、変化の途中にいるだけだ。
車の運転と違うのは、TOEICの場合はスコアという数字で「崩れ」が可視化されること。
だから余計に「自分は後退した」と感じやすい。
10月に公式問題集を初めて解いたとき、330点だった。
途中で何度も止まった。14分で手が止まる日もあった。
品詞問題で同じミスを何度も繰り返した。覚えたルールに引きずられて、前に解けていた問題を間違えた。
スコアが上がった翌日に落ちた。680点の5日後に405点になった。
その瞬間だけを切り取れば、崩壊にしか見えない。
でも、その4ヶ月間を通しで見ると、本番で600点を取っていた。
途中の崩壊を全部含めて、330点から600点になっていた。
止まっている間も、何かは進んでいたらしい。
仕事を始めたころ、上司に送るはずの報告書を社外の同姓の人に送ったことがある。
気づいたときは血の気が引いた。上司に報告して、先方に謝罪の電話をかけて、始末書を書いた。
はたから見たら「なんでそんなミスするんだよ」という話だろう。
当時は「もうこの仕事向いてないんじゃないか」と本気で思った。
でも、そこから宛先を二度確認するようになって、同じミスは二度と起きなかった。
今では飲み会で笑い話にしている。
あの頃の「もう無理」は、もう過去の話になっている。
TOEICの「できない」も、同じかもしれない。
「挫折した」ではなく、「変化の途中にいる」。
名前が変わるだけで、見え方は変わる。
もし今、自分の状態に近い記録があれば読んでみてほしい。
- 点数が落ちて止まっているなら → TOEIC点数が下がった時の対処法|670→585→600点の記録
- 手が止まって動けないなら → TOEICの勉強が続かない|14分で止まった日の記録

検索してる時点で、まだ終わってない
僕もあの頃、「挫折」で検索した。
やめたいと思いながら、やめなくていい理由を探していた。
出てくるのは「続け方」の記事ばかりだった。続けているのに苦しいのに、「続け方」を教えられても響かなかった。
結局やめなかった。
同じところで止まるなら、切り口を変えてみようと思った。
解き方を変えた。復習の仕方を変えた。模試の使い方を変えた。
全部が正解だったわけじゃない。また間違えた。また戻った。
でも、「変化の途中にいるだけだ」と思えるようになってからは、戻ることが怖くなくなった。
完全に止まった日はなかった。
できないのは悪いことじゃない。
やめるのがもったいないだけだと、今は思う。
ほんとにやめたくなったら、やめればいい。誰も止めない。
でも今この記事を読んでいるなら、たぶんまだ終わっていない。
僕はあの頃、検索しながら、まだ向き合っていたんだと思う。
僕はまだ続けている。今は900点を目指している。
まだ途中にいる。
- この記事で「自分に近い」と思ったパターンを1つ選ぶ
- そのパターンに合った記事を下のリンクから読む
- 明日、アプリを開いてみる。1問だけでいい
同じ頃の記録がある。
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