TOEIC文法書で気づいた。自分が詰まってるのは中学英語だった話

「中学英語からやり直した方がいい」。

ネットのどこかで読んだ。
誰が書いたかも覚えてない。TOEICの勉強法を調べていて、たまたま目に入った一文だった。

さすがにThis is a penはわかる。
I like music. も、まあ大丈夫だと思う。
そのレベルまで戻る必要があるのかと思うと、なんとも言えない気持ちになった。

でもその言葉が、妙に引っかかってる自分がいた。
反射的に「さすがにそこまで戻らなくていいでしょ」と思ったのに、画面を閉じた後もどこかに残ってる。

引っかかってるということは、どこかで心当たりがあるということだ。
本当にできるなら、引っかからない。
それがわかっていて、確認するのが怖かった。

目次

「中学英語」って、何を想像した?

中学英語。

その言葉を聞いて浮かぶのは、中1の教室だった。
黒板にアルファベットが並んでいて、先生が「リピートアフターミー」と言ってる。
This is a pen. I am a student. He plays soccer.
あの景色。

中学英語というと、あのあたりが頭に浮かぶ。
だから「やり直す」と聞くと、あそこまで戻るのかと思ってしまう。
大人が今さらあれをやるのか、と。
周りの誰にも言えない種類の後ろめたさがある。

でも中学は3年ある。

中3の教科書には、こういう文が出てくる。

The book which I bought yesterday was interesting.
If I were you, I would study harder.
The boy running over there is my brother.

パッと意味が取れるかどうか。文の構造が見えるかどうか。

whichの後ろに何が来ているか。
なぜwasではなくwereなのか。
runningがなぜここにあるのか。

全部説明できたら、中学英語は問題ない。
僕は、1つも説明できなかった。

中1の最初と中3の最後では、別の言語みたいだった。
同じ「中学英語」という言葉の中に、This is a pen. と関係代名詞が同居している。
その一言が覆う範囲は、想像していたよりずっと広い。

カフェのテーブルにノートPCとイヤホン

中3の正答率、46.1%

2023年の全国学力テスト。
中3の英語、平均正答率は46.1%だった。

中学生が、中学英語のテストを受けて、半分を切っている。
毎日授業を受けている中学3年生でさえ、半分取れていない。
大人が覚えてないのは、当たり前かもしれない。

2021年に学習指導要領が変わった。
仮定法が高校から中学に降りてきた。
単語数も1,200語から1,600〜1,800語に増えた。
つまり、今の中3が習っている内容は、自分が中学生だった頃より重い。

今の「中学英語」は、大人が学生の頃に習った中学英語とは範囲が違う。
忘れたんじゃなくて、そもそも習ってない単元がある。
「できて当然」だと思っていたものの中身が、いつの間にか変わっていた。

僕は英文法書を1冊買った

TOEICの対策をしようと思って、文法書を1冊買った。
「世界一わかりやすいTOEICテストの英文法」。
本屋で平積みになっていたのを手に取った。
表紙にはTOEICと大きく書いてある。中学英語の本ではない。

世界一わかりやすいTOEICテストの英文法とスタバのコーヒー

中学英語をやり直そうとしたわけじゃない。
TOEICの文法問題を解けるようになりたかった。それだけ。
TOEIC用の本だから、中学レベルの話はほとんどないだろうと思っていた。

家に帰って目次を開いた。
時制。前置詞。受動態。接続詞。関係代名詞。
最初の方に並んでいるのは、見覚えのある単元ばかりだった。
TOEIC対策の本なのに、中学範囲がしっかり入っている。

正直、ここは飛ばそうかと思った。
知ってる内容をわざわざ読むのは時間がもったいない。
でも「一応確認しておくか」のつもりで、頭から読み始めた。

中学英語をやり直したんじゃない。
文法書を開いたら、そこに中学英語があった。
それだけのことだった。

中学英語、全部やり直すの?

時制と前置詞は、覚えてる人が多い。
ここは飛ばしていい。全部やる必要はない。

僕も最初の数章は30分で終わった。
ページをめくる手が軽かった。
「ああ、これは知ってる」。確認するだけの作業。
いけるじゃん。このペースなら数日で終わる。

問題はその先にあった。

中学英語、どこで止まる?

止まる場所は関係代名詞と仮定法。ここだけ腰を据えてやればいい。

僕は関係代名詞の章に入って、手が止まった。

whichとthatの使い分け。主格と目的格。
文字を目で追っているのに、頭の中を素通りしていく。
同じ段落を3回読んだ。まだわからない。

ペンを持ち直して、例文の下に線を引いた。
線を引いても、構造が見えない。

The book which I bought yesterday was interesting.

whichの後ろに何が来るのか。省略できるのはどっちなのか。
主格のwhichと目的格のwhich。説明を読んでも、どっちがどっちか整理できない。
読んでも読んでも像を結ばない。

さっきまでの快走が嘘みたいだった。
30分で終わっていた章と同じ本の同じページ数なのに、1時間以上かかった。
ふと時計を見た。え。そんなに経ってたのか。
窓の外が少し暗くなっていた。

気がつくと、指が本の角を折っていた。
しおりを挟む余裕もなかったんだと思う。
ここまで戻ってやり直す、という印。無意識にそれをやっていた。

仮定法も同じだった。

If I were you。
ページを開いた瞬間にわかった。これは知らない。

were。主語がIなのにwere。
文法のルールが、自分の知ってる英語と違う場所に来た感覚。
背もたれに寄りかかっていた身体を起こして、椅子に座り直した。
机の上のマグカップを一度横に寄せて、本を正面に置き直した。
最初の行からもう一度読んだ。

「中学レベルは飛ばせるだろう」と思って開いた本の中で、中学範囲に止められていた。
飛ばせると思った場所が、一番時間がかかった場所だった。

この文法書をどうやって15日で走り切ったかは、こっちに全部書いた

カフェでPCを開いて勉強している

関係代名詞に1時間以上かかって、仮定法でもう1時間。
それでも閉じなかった。わからないまま放置するのが嫌だった。
何度か読み返して、1つだけ残った言葉がある。

「助動詞の過去形が目印」。

wouldを見たら仮定法を疑え。それだけ。
もっと複雑な仕組みがあると身構えていた。
条件分岐とか、例外とか、山ほどあるんだろうと。
でも入口の目印は1つだった。wouldが見えたら、まず仮定法。

これを知ってから、TOEICのPart5で動詞の形を選ぶ問題が変わった。
文中にwouldが見えた瞬間に、「これは仮定法の問題だ」と判断がつく。
選択肢を1つずつ見比べて時間を使っていたのが、読んだ瞬間に方向が見える。

知ってたら5秒。知らなかったら永遠に迷う。
その差が、文法だった。

中学英語やり直したらPart5が変わった

止まっても、1冊通せばPart5は変わる。
4割が7割になった。

文法書を15日で読み終えた。
関係代名詞で止まった。仮定法で止まった。分詞構文で止まった。
それでも、1日1章のペースで15日。最後まで通した。

単語は増やしてない。
新しい問題集も買ってない。
リスニングの練習もしてない。
やったのは文法書1冊だけ。

文法の道筋が見えただけで、判断が変わった。
wouldを見たら仮定法。whichの後ろは主語が抜ける。
それだけのことで、選択肢の見え方が変わる。

知識が増えたというより、問題の見え方が変わった感覚に近い。
同じ問題を見ているのに、手がかりが見えるようになった。
以前は4つの選択肢をにらんで、なんとなく選んでいた。
今は根拠がある。その差は大きかった。

4割から7割。文法書1冊。15日。

Part5で「わかるのに解けない」が続いてるなら、この記事に原因を書いた。

恥ずかしいと思ったのは、想像が違ったから

文法書を読み終えて、振り返る。
開く前に中学範囲だけ確認していたら、飛ばせる章もあったかもしれない。
時制や前置詞は30分で終わった。全部が全部わからなかったわけじゃない。

止まったのは、関係代名詞と仮定法だった。
中2から中3の範囲。
学校を出てから10年以上触れていなければ、忘れていて普通の場所。
というか、仮定法は今の中学生が習う範囲で、僕の頃は高校の内容だった。知らなくて当然だった。

「中学英語からやり直す」という言葉に引っかかったのは、中1の最初しか想像してなかったからだと思う。
This is a pen. のあたりを延々とやらされる画が浮かんで、それが恥ずかしかった。
あの頃の教室に戻されるような感覚。大人がそれをやるのか、と。

でも実際に止まったのは、関係代名詞のページと仮定法のページだった。
中1の範囲じゃない。中2から中3。そこが必要だった。

久しぶりに飛行機に乗る前、確認することがある。
チケットは紙かQRか。荷物は持ち込みか預けるか。

全部知ってるつもりでも、久しぶりだと「あれ、どっちだっけ」になる。
一度乗ったことがある人は、確認すれば思い出せる。
確認してればスムーズに乗れる。してなければ焦って、最悪乗れない。

中学英語も同じだった。
3年間やり直せという話じゃない。
搭乗前の確認。どこが通れてどこが通れないか、一度確認するだけ。
それだけだった。

僕の出発点は、中学英語をやり直したことじゃない。
文法書を開いたら、中学英語で止まったこと。

それがスタートだった。

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