「Where are you from?」
たった4語。でも、この一言を自分から言えるまでに、1ヶ月半かかった。
ストックホルム中央駅。妻と荷物をホテルに預け、軽く観光していたときのことだった。
妻が話しかけられた|「写真を撮ってくれませんか?」
中央駅構内は驚くほどきれいで、地元の人も観光客も混ざり合って歩いている。
そのとき、黒人の家族が妻に英語で話しかけてきた。
「Excuse me, could you take a photo of us?」
妻が英語で「Sure!」と返し、スマホを受け取って写真を撮った。家族はとても喜んでいた。
今までの僕なら「Here you are 😊」と返して終わっていただろう。でも、この旅の数日間で英語を使う機会が多く、「完璧じゃなくても通じる」という感覚が少しずつたまっていた。
気づいたら言っていた|「Where are you from?」
家族にスマホを返す瞬間、自然と口が動いた。
「Where are you from?」
自分でも驚いた。文法を考えたわけでも、勇気を振り絞ったわけでもない。ただ「聞いてみたい」と思った気持ちが、そのまま英語になった。
父親らしき男性が笑って答えてくれた。
「We’re from Congo.」
僕も自然に返した。
「Oh, nice! We are from Japan!」
すると彼は少し驚いたように笑い、日本に敬意を示すように軽くお辞儀をしてくれた。その一瞬で文化がつながったような、不思議で温かい感覚があった。
もう一枚お願い!|妻も家族写真に入った
すると父親が嬉しそうに「One more!」と言い、今度は妻も一緒に写真に入るよう促された。
僕はその家族の“家族写真”を撮った。数秒の交流なのに、まるで友達と話したような自然さがあった。
小さな成功体験|英語が僕の世界を広げた
英語が怖い理由は、「間違えたくない」ではなく、ただ判断スイッチが濁るだけだった。今回のやり取りで、それがスッと消えた。
相手は完璧な英語を求めていない。こちらの気持ちを受け取ろうとしてくれる。
そして気づいた。
TOEICの学習は、英文法や単語を覚えるためだけじゃなくて、英語の「基礎」を作ってくれていたんだ。
旅の中で「英語と自分の距離」が変わった。点数のためではなく、世界とつながる瞬間を増やすために英語を続けたいと思えた。
この一言で、世界が少し近くなった
「Where are you from?」は、中学英語で習う4語。でも、この4語を“自分から言えた”という事実は、僕の英語観を大きく変えた。
英語は、点数のためだけのものじゃない。誰かの世界と、自分の世界をつなぐ道具なんだと思えた。
4語がくれた実践のヒント
この体験は、英語が得意じゃなくても「世界と接続できる瞬間」は作れる、ということを教えてくれた。
読者のみなさんへの実践ポイントは3つだけ。
- ① 完璧じゃなくていい。まずは“ひと言”だけ覚える。
(今回のぼくは 4語しか使ってない) - ② 英語は「義務」より「自発」のほうが楽しい。
(聞きたいと思う気持ちが行動を作る) - ③ TOEICの学習は“反射OS”を育てる。
(試験勉強が、実際の一言につながる)
英語は点数だけのツールじゃなく、「人とつながるための道具」。
たった4語でも、それが自分の世界を変えることがある。
この記事が、あなたが次に誰かと英語で話す一歩のきっかけになれば嬉しい。
この体験で気づいたこと
- 「聞く」と「言う」は別物。でも、土台は同じ
- 完璧じゃなくても、会話は成立する
- 一度話しかけると、次が楽になる
次話予告:最終話「ミートボールをなめてた」
ストックホルム最後の夜。
僕らは、スウェーデン名物のミートボールを食べに行った。
入国審査で「Eat Meatballs!」と答えた、あのミートボール。
正直、なめてた。IKEAで食べたことあるし、そんなに特別じゃないだろうと思ってた。
でも、本場のミートボールは、全然違った。
そして、この旅の締めくくりにふさわしい、小さな出来事が起きた。
シリーズ記事
- 第1話:入国審査で「Eat Meatballs」と答えた朝
- 第2話:券売機のない国で、最初の混乱が始まる
- 第3話:QRコードが反応しない、あと2分で電車が来る
- 第4話:Where are you fromと初めて言えた日(この記事)
- 第5話:ミートボールをなめてた(近日公開)
この記事は、今年11月の北欧&ドイツ旅行のうち、ストックホルム滞在(2泊)の実体験をもとに執筆した。TOEIC学習を始めて1ヶ月半後の出来事。旅行の予約自体は学習開始の半年前にしていた。
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