TOEIC学習を始めて1ヶ月半。ストックホルム旅行で経験した入国審査。
事前にAIで練習して「完璧」だと思っていた。でも、イレギュラーな質問で固まり、「Eat Meatballs!」と答えてしまった。
このときはまだ、この旅があとで”ぼくの世界を少し広げる”ことになるなんて思ってもいなかった。点数じゃなくて瞬発力。英語が「現実で使われた瞬間」に気づいた原体験。
離陸前のゲート|チャッピーと入国審査の練習をした
11月。今年のこと。
ストックホルム2泊、妻と2人旅。羽田から直行便。ANAのマイルで取った。
搭乗ゲートで待ってる間、やることがない。妻は雑誌を読んでいる。僕はスマホを開いて、チャッピー(AI)に話しかけた。
「入国審査で聞かれることを教えて」
チャッピーが教えてくれた質問リスト
- What’s the purpose of your visit?(訪問の目的は?)
- How long will you stay?(滞在期間は?)
- Where will you be staying?(どこに泊まりますか?)
- Is this your first time in Sweden?(スウェーデンは初めてですか?)
- Do you have anything to declare?(申告するものは?)
※搭乗ゲートで30分くらいこれを練習した
全部暗記した。答えもスムーズに言えるようになった。
「よし、今日の僕イケるっしょ」
そう思って、飛行機に乗った。
入国審査|一人当たりの時間がやたら長い
ストックホルム・アーランダ空港に到着。
入国審査の列に並ぶ。Travel EUROPEみたいなアプリを入れておいたから、優先ゲートに行けた。
でも、早くならなかった。
一人当たりの時間が、日本の倍くらいある。審査官は威圧的じゃない。むしろ穏やか。でも、質問が多い。
前の人が10分くらい話してる。僕の番が来た。
順調だった|準備した質問には答えられた
審査官は若い女性。最初は落ち着いた感じで話しかけてくれた。
「Is this your first time in Sweden?」(スウェーデンは初めてですか?)
「Yes!」
「Business or vacation?」(仕事か休暇か?)
「Holiday!」
そう答えたら、審査官が少し笑って言った。
「Ah, vacation?」(休暇ってことね?)
そうか、HolidayよりVacationの方が自然なのか。頭の中で「そういうことか」と思いながら、「Yes, vacation」と言い直した。
「How many nights?」(何泊ですか?)
「Two nights!」
「Where will you stay?」(どこに泊まりますか?)
「Stockholm Central Station area!」
ここで、ホテルの予約画面を見せようとした。
スマホを開く。アプリを開く。予約履歴を探す。
見つからない。
焦った。別のアプリを開く。スクリーンショットのフォルダを探す。
審査官は待ってくれてる。でも、僕の心臓はバクバク。
やっと見つけた。「This!」と言って見せた。
「OK」と審査官は頷いた。
ここまでは、なんとかなっていた。
「What brings you to Stockholm?」で固まった
ここで、審査官が言った。
「So… what brings you to Stockholm?」(何しに来たんですか?)
え?
さっき「vacation」って答えたよね?
What brings you to…? なんて質問、チャッピーに習ってない。
頭が真っ白になった。
このとき僕の頭の中
- What brings you to…ってどういう意味?
- 「何があなたをストックホルムに連れてきたのか」?
- え、vacationって答えたのに、まだ何か答える必要あるの?
- ANAのマイルで来ただけなんだけど…
- (3秒経過。審査官が待ってる。やばい)
そして、口から出たのがこれ。
「Eat… Meatballs!」
クスッと笑って通してくれた
審査官は、一瞬キョトンとした顔をして、それからクスッと笑った。
「Other?」(他には?)
みたいな空気で聞かれた。
でも、僕はスウェーデンの名物を他に知らなかった。
沈黙。
審査官は優しい感じで、もう一度クスッと笑って、パスポートにスタンプを押してくれた。
「Enjoy your stay.」(良い滞在を)
「Thank you…」
僕は、心臓バクバクで手汗びっしょりのまま、入国審査を抜けた。

点数じゃなくて瞬発力|この旅で何度も思い知らされる
空港の外に出た瞬間、妻が言った。
「めっちゃ緊張してたね」
そうなのよ。
チャッピーに習った質問には答えられた。でも、イレギュラーな質問が来た瞬間、固まった。
これが「試験の英語」と「現実の英語」の差なんだと思った。
入国審査で気づいた3つのこと
1. 準備した質問には答えられる
チャッピーに習った質問は、全部答えられた。準備は無駄じゃない。
2. イレギュラーな質問で詰まる
「What brings you to…?」は想定外。瞬発力が足りなかった。
3. 点数じゃなくて瞬発力
単語を知ってるだけじゃダメ。咄嗟に口から出る力が必要。
この「Eat Meatballs事件」が、すべての始まりだった。
この旅の中で、僕はこれから何度も「点数じゃなくて瞬発力」を痛感することになる。
空港に出た瞬間、まだ序章だと気づく
入国審査を抜けて、荷物を受け取って、空港の外に出た。
そこで気づいた。
「これ、まだ序章だ」
ここから、ホテルまで行く。チェックインする。レストランで注文する。観光する。
全部、英語。
しかも、どれもイレギュラーだらけ。
入国審査で「Eat Meatballs」って答えた僕が、この2泊3日をどう乗り切るのか。
それは、次の話。
この旅で学んだこと
- 試験で読む英文と、空港で突然ぶつかる英語は全く別物
- 英語って、こういう瞬間に本当に必要なんだ
- 「点数じゃなくて、瞬発力なんだ」と痛感した
次話予告:第2話「券売機のない国で、最初の混乱が始まる」
入国審査を抜けた僕を待っていたのは、「券売機がない」という最初の混乱だった。
どうやって電車に乗るのか?
スマホでチケットを買う?
でも、アプリの使い方が分からない。
駅員に聞くしかない。
でも、「券売機はどこですか?」って英語で何て言うんだっけ?
ここから、旅と英語の「二つの旅」が本格的に始まる。
シリーズ記事
- 第1話:入国審査で「Eat Meatballs」と答えた朝(この記事)
- 第2話:券売機のない国で、最初の混乱が始まる(近日公開)
- 第3話:QRコードが反応しない、あと2分で電車が来る(近日公開)
- 第4話:Where are you fromと初めて言えた日(近日公開)
- 第5話:ミートボールをなめてた(近日公開)
この記事は、今年11月の北欧&ドイツ旅行のうち、ストックホルム滞在(2泊)の実体験をもとに執筆した。TOEIC学習を始めて1ヶ月半後の出来事。旅行の予約自体は学習開始の半年前にしていた。
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