静けさの中、初めてTOEICに向き合ったイメージ
TOEIC公式問題集を初めて解いた日
TOEIC公式問題集を初めて解いた。
社会人になって、本気で英語と向き合おうと決めた日のことだ。
自宅の机の上。
外から車の音が聞こえる。
マグカップを片隅に置いて、公式問題集を開いた。
昼飯を抜いて挑んだ。
「やるぞ」と気合いを入れた。
リスニングのテストから始める。
音声が流れ始めた瞬間、気づいた。
速い。
思ったより、ずっと速い。
聞き取れない自分に、何度も小さく舌打ちした。
問題文を読む余裕がない。
選択肢を見比べる時間もない。
気づいたら次の問題に進んでいる。
リーディングも同じだった。
時間が足りない。
構文が見えない。
集中力も、途中で切れた。
最後まで解こうとしたけれど、全く時間が足りなかった。
Part 7は半分以上が手をつけられずに終わった。
ただマークシートを埋めたのではなく、解けなかった現実に向き合うように、一問ずつ塗りつぶした。
結果は330〜460点。思ったより、できなかった
TOEIC300点台は「中学英語の基礎が抜けている」レベル。
リスニングが180〜250点、リーディングが150〜210点。
合計で330〜460点。
このスコアの幅は、公式問題集に掲載されている「正答数ごとのスコア換算表」から算出したものだ。
TOEICは回によって問題の難易度が異なるため、正答数によって最終スコアが前後する仕組みになっている。
実際の解答用紙。塗りつぶした跡が、現実を物語る
思ったより、できなかった。
15年働いてきた自信が、音を立てて崩れるような感じがした。
中学英語もあやふやだと、この数字になる。
基礎がないと、応用もできない。
当たり前のことだけど、数字で見ると重い。
でも、不思議と心は折れてなかった。
むしろ、すっきりした。
「このくらいか」と思った。
現実を見た分だけ、これからの方が正確に進める気がした。
集中力が続かない。構文が見えない
社会人がTOEICを受けて最初に感じるのは、「持久力の壁」だ。
リスニングは、最初の30問くらいまでは集中できた。
でも、Part 3あたりから、頭が追いつかなくなった。
会話が長い。
登場人物が誰を指しているのか、わからなくなる。
リーディングは、もっと厳しかった。
Part 5の文法問題で、すでに手が止まる。
applicant、requirement、improvement──これらの単語は理解している。
ただし、形容詞や副詞、接続詞で複雑に修飾された文になると構造がつかめない。
andで並んでいる単語も、どこが並列でどこが主節か見分けられない。
Part 7では、文を読むだけで精一杯。
次の文を読んでいる間に前の文を忘れてしまう。
時間配分も、全く考えられなかった。
実際の解答用紙。数字が、現実を突きつける
集中力が続かない。
構文が見えない。
読んだ内容が残らない。
でも、それがわかっただけでも、意味があった。
机にうつ伏せた自分の影が、夕方の光で長く伸びていた。
AIとの対話で、学習を再設計する
TOEIC初心者が次にやるべきことは?
やり直し英語の第一歩として、TOEICを選んだ。
300点台という数字は、正直つらかった。
でも、逃げたくはなかった。
あの夜、自宅の机で考えた。
自己流ではもう限界だ。
ChatGPTに相談した。
問題の順番。
優先すべきスキル。
学習のペース。
ひとつずつ整理していった。
向き合わなきゃ点数は上がらない
「集中力が切れるなら、短時間で区切ればいい。」
「構文が見えないなら、文構造を分解する練習から始めればいい。」
「読んだ内容が残らないなら、要約する習慣をつければいい。」
この対話が、英語学習の分岐点になった。
点数じゃなくて、始められたこと。
それが今日の、いちばんの成果だった。
TOEIC公式問題集を初めて解いた日。
330点という数字は重かったけれど、ここがスタート地点だと分かった。
ただ、量をこなすだけじゃ足りない。
そんな予感がした。
次は、”やる気”じゃなく”設計”で挑む。
その夜、ノートの横に立てかけたペンが、少しだけ軽く見えた。
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